存在してないもの

在るようなないような雑記帳

「いっぴき」(高橋久美子)

高橋久美子さんのエッセイ。これまで出版されたものと新たに書き下ろしたのをまとめたもの。

高橋さんが日常生活で感じたことや経験したことが、いきいきした文章になっている。大学時代のこと、バンドとして東京に出てきた時のこと、旅行のこと、ひとりになってからのことなどなど。感受性が豊かで、書くことが本当に好きなんだと分かる。

そして、何かに打ち込むときのエネルギーがすごい。特にヒトノユメ展の話は熱い。好きなことや面白そうなことをやろうと行動して、実際に実現させるのは簡単なことではない。時間や予算が限られているし、何もないところから自分たちだけで企画や作業をしていくのは大変だと思う。そんな中でも、企画内容に共感して協力してくれる人がいるという事実にとても心打たれた。チームで何かを成し遂げるということを私自身ほとんどやったことがないから分からないけれど、達成感というのはとてつもなく大きいんだろうな。

たまにチャットモンチーの時の話題が出てくるのがうれしい。本の帯のコメントは福岡晃子さん、解説は橋本絵莉子さんが書いている。

「音楽2」の最後に書いてあった言葉が心に残っている:
「過去の中にこそ、新鮮な未来が見える瞬間があるのだ。これは本当に。」
いままで過去を振り返ることはあまりしてこなかったけど、そういう視点も大切なんだ。先が見えないこれからの時代には特に。